ちょっと真面目チョット皮肉 160
石山祐二 *
写真1 北海道博物館・正面
北海道博物館(写真1)が、北海道開拓記念館と北海道立アイヌ民族文化研究センターを統合し、2015 年4月に開館した。入り口を入ってすぐに目に付くのがマンモスとナウマンゾウの実物大の骨格標本(写真2)である。展示はこのような非常に古い時代から、ごく最近のものもあり、興味が尽きない。もちろん、アイヌ関連の展示も充実している。
写真2 ナウマンゾウの骨格標本
1 階と2 階合わせて約3,000m2 の展示室は、プロローグ「北と南の出会い」から始まり、5 つのテーマより構成されている。第1「北海道120 万年物語」、第2「アイヌ文化の世界」、第3「北海道らしさの秘密」、第4「わたしたちの時代へ」、第5「生き物たちの北海道」となっている。見学はどの順序でも構わないが、「とりあえずコース」で北海道の自然・歴史・文化を簡単に見ても1時間は必要で、各テーマを少し時間をかけて見学すると2~3 時間かけても足りないかも知れない。
札幌市厚別区にある博物館は野幌森林公園の中にあり、レンガ色の外装は周囲の緑と美しい対比をなしていて、愛称は「森のちゃれんが」である。見学の後は周囲に広がる公園内を散策し森林浴をするのもよいであろうし、百年記念塔もあり、大人も子供も終日楽しむことができる。
博物館の前身の北海道開拓記念館は北海道の開道100年を記念して1971 年に開設された。建物の設計は佐藤武夫、施工は丸彦渡辺・戸田建設で1970 年に竣工している。1981 年に施行した新耐震といわれる耐震規定を満足していなかったため、約2 年間休館し、この間に建物内部の改装や筋かいを設けるなど耐震補強も行った(写真3)。耐震的となっても地震の際には建物は揺れるので、貴重な展示品が倒れないように固定したり、テグスを張っているものもある。免震装置が組み込まれた展示台(写真4)も部分的に用いられている。なお、この免震装置付きの展示台は、筆者も参加し北海道立総合研究機構の北方建築総合研究所との共同研究で開発したものである。
写真3 耐震補強のため内部に設置された筋かい
博物館を訪れた際には、展示物はもちろんのことであるが、その展示方法、建物の内部・外部、そして周囲の森林などにも注目しながら、見学を楽しんで欲しいと思っている。入場料は大人600 円、高校生・大学生300円、身障者・中学生以下・65 歳以上は無料である。
写真4 免震装置が組み込まれた展示台
* いしやまゆうじ 北海道大学名誉教授
(一社)建築研究振興協会発行「建築の研究」2015.6 原稿