2015年8月20日

2-10 無償の富を生かす器としての建築

建築的な工夫を忘れさせる装置化技術
建築的な工夫を忘れさせる装置化技術

2-10 無償の富を生かす器としての建築

自然エネルギーは、備えがなければ生命に関わる危険性を持ちながら、それなしには生きられない命の支えであり、しかも無償です。

豊かさとは、本当の必要に満たされていること、十分で有り余る状態を意味しますが、流通経済を経ずに手に入れる自然エネルギーに取り囲まれ、その無償の富を活用する器としての建築を所有できるのは、まさに豊かさそのものです。

自然エネルギーの活用は決して難しい技術ではありませんが、地域により、季節により、場所によって対応が違いますから、住み手の参加と生活の知恵がなければ建築的な工夫も生きてきません。

長い時間をかけて試行錯誤を繰り返し、地域独自の環境対応を発見してきたのが建築の伝統ですが、社会は今、人工エネルギーに依存し、自動化された装置に頼って思い通りに環境を制御する、インターナショナル化された建築に関心が寄せられる一方で、自分で工夫する大切な生活の知恵を失いつつあります。

自然エネルギーと建築との関わりは、太陽や風力による発電のような“利用”ではなく、その特性を生かす“活用”です。

建築の立場での自然エネルギー利用とは、その活用から生まれる建築の価値や環境保全とのかかわりを社会や居住者に知らせ、次の仕事につなぐことです。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
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