
4-1 弱さを大切にする成長
自然エネルギーの特徴は、独力での問題解決能力を持たない弱さにあります。
灯油や電気だけで暖房するのは簡単ですが、窓からの日射だけで暖房するのはとても無理です.断熱や気密化、方位の工夫といった手助けがあって初めて、暖房の主熱源としても認められ、穏やかで心地の良い環境が生まれます、
断熱や方位の工夫もまた、独力での解決能力を持たない弱い手段で、こうした弱さのつながりが、強さでは得られない穏やかさを生んでいます。
薪も決して強力で便利なエネルギーとはいえませんが、建物の断熱と熱容量という弱い手段と組み合わされると、薪を作り、火を燃やすという楽しみと、森を生かし高齢者を生かし、仲間をつくる働きにもつながってきます。
現代社会が求めてきたのは独力での問題解決能力を持つ強さです。国は軍事力に頼り権力を集中して発言力、影響力を強めようとし、企業は規模を拡大して競争力を高め、私達もまた技術力、エネルギーに頼って自然を克服しようとし、経済力に頼って他人とのかかわり合いの少ない生活を選び、新しい自分を発見するという成長の機会を失って、疎外や孤独への道を歩んでいます。
自然エネルギーが弱さを疎外せず、自立よりもつながりを求め、それぞれの個性を尊重し、欠点よりも良さを大切にするのとは対照的です。