1-1 地球という外断熱された星
地球が外断熱された星であるということを考えたことがあるでしょうか?
地球は 5,700℃にも及ぶ太陽からの強い放射熱を受けながら、同時にマイナス
273℃という絶対零度の宇宙空間に放熱を続ける天体で、昼と夜との温度差は大き
く、これだけではとてもそこに生物を宿すような穏やかな星にはなりません。
地球には、それを取り巻く空気や、そこに含まれる水蒸気、雲、炭酸ガス、オゾ
ンなど、太陽と宇宙、そして地表面からの高温、低温の放射熱を吸収しながら、そ
の温度に応じて再放射をする天然の断熱層があって、大きな変動を緩和する働きを
しています。
さらに地表には、森や潅木や草原、落ち葉や枯れ草、土壌や雪、そして氷までも
が断熱材となって生物を守り、おまけに動物達は、羽毛や皮下脂肪という断熱材を
身にまとって環境に順化し、人間もまた建物という断熱材の中で衣服をまとうだけ
ではなく、暖房や冷房にも頼って生きています。
今地球の温暖化が人類の存亡にかかわる問題になっていますが、仮に、この地球
を取り巻く大気の断熱がもう少し厚いか薄いか、あるいは、地球と太陽との距離が
ほんの少し近いか遠いかによって、今私達が住んでいる地球とは全く異なる死の世
界になることを考えると、その絶妙なバランスに驚嘆を覚えます。