2015年7月19日

1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材

目には見えない温度放射を赤外線カメラで覗く (赤いところは温度の高いところ)
目には見えない温度放射を赤外線カメラで覗く
(赤いところは温度の高いところ)

1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材

 何億光年の星という言葉を聞くと、想像を絶する距離と時間を経てもなお、それを発した星の形や色などの情報を縫に伝えてくれる・その光りの性質や宇宙の透明度には驚嘆を覚えます。

 1億5000万kmの距離を約8分で至障する太陽からの日射は、光として、熱として、紫外線や赤外線としての多様な性格と働きを持ち、生命を育み、植物を生長させ、環境を靴浄化して健康を保持し最後は熱となって環境の温度を保持する、命の源とも言える自然エネルギーであることは言うまでもありません。

日射が物体に入射すると反射、透過、吸収が起こります。反射光、透過光は光としての性質を持っていますが、汲収されたエネルギーは熱となってその物体の温度を上げ、その温度と物体の表面性状に応じて、より長い波長の放射エネルギーを周囲に発散し、再度反射吸収を繰り返します。これは、遠赤外線あるいは温度放射とも呼ばれる、目に見えない放射エネルギーです。

もし地球を取り巻く大気が透明か真空であれば、この放射エネルギーはそのまま宇宙に放散されてしまいますが、雲や目に見えない断熱材に包まれた星であるために、この波長の長い放射エネルギーもまた、太陽にも匹敵する自然エネルギーとして、地球の熱収支と共に私達の生活に深い関わりを持っています。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
一般社団法人 北海道建築技術協会
〒060-0042
札幌市中央区大通西5丁目11
大五ビル2階
アクセス
TEL (011)251-2794
FAX (011)251-2800
▲ ページのトップへ