1-7 地域性に富んだ自然エネルギー
もちろん公転軸と地軸は、平行でも直交でもなく、23°27’の傾きを持っていますから、地球に入射する太陽の角度は年間を通じて絶えず変化し、それが四季の変化を生み、地域ごとに異なる生態系と生活を生み出しています。
地球を取り巻く外断熱ともいえる大気層と、その中で繰り広げられる水と空気の大循環が、多様な生物を含む地球特有の自然エネルギーを生み出したと書きましたが、23°27’という傾きは、その自然エネルギーの地域性を際立たせる見事な演出です。
北極圏と南極圏には日が沈まない白夜の季節がある一方で、太陽が姿を見せない夜の期間があり、中緯度帯には暑さと寒さを含む四季の変化、赤道帯には高温・湿潤な雨季と乾期が交互に訪れる地域性に満ちた変化があります。
この変化に満ちた地域性は決して欠点ではなく、素晴らしさであり魅力なのですが、私達はともするとそこに“良さ”よりも“不都合”を見てしまいます。
それぞれの地域にはその特質を良さとし誇りとする、時間をかけて育てられた伝統文化がありますが、近代文明にはむしろその地域の特質に欠点を見出し、それを力で解決することを進歩とする発想があって、地域性を無視した画一的な対応や生活が急速に広がっています。