
1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー
自然エネルギー利用というと、風力発電や太陽光発電しか思いつかない人が多いのは不思議ですが、発電された電力は典型的な人工エネルギーです。
思い通りになる化石エネルギーに頼って、環境に大きな歪みを生み出してきたことが地球環境の汚染と破壊の原因ですが、自然エネルギーの特徴は、地球がそのあるべき姿を保つために、むしろ人間の思いや価値判断を越えて、休みなく働き続ける完全に自動化された“環境保全エネルギー”です。
あまり自覚はないかも知れませんが、自然エネルギー利用産業の典型ともいえる農・林・水産業にも化石エネルギー依存が浸透し、機械化、大規模化と共に、薬害や大地の生産力低下、地下水の枯渇や塩害も急速に進み、豊かな自然と農地を放棄する耕作放棄も進んでいます。
先に述べた干ばつや沙漠化、温暖化や海水面の上昇は、自然エネルギーの働きを疎かにすることへの警告でもあります。
化石エネルギーの節減を意味する“省エネルギー”よりも、自然のあるべき姿を保持しようとする自然エネルギーの性質を大事にし、地域らしさを引き出し、結果としての化石エネルギー依存を減らすことのほうが、希望と持続性のある取り組みにつながります。