2015年8月20日

3-6 天日干しの魅力

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3-6 天日干しの魅力

軒先に吊り下げられた干し柿や大根、前浜に広げられる昆布やわかめ、潮風にゆれる鮭や身欠き練やするめ、一夜干のかれいやししゃも、縁側や軒先に並べられる山菜や切干大根、はさ掛けの稲など、絵になる光景が目に浮かびます。

天日干しと呼ばれる乾燥には、低温の空気と放射エネルギーとしての太陽との組み合わせに妙があって、装置型、熱風型の乾燥にはない特有の風味、栄養、健康感が生まれるといわれます。

太陽からの放射熱は、周りの空気を暖めることなしに直接対象物の表面に吸収され、水分の蒸散を促しますから、温風や熱パイプに接触させる装置型の乾燥よりも効率がよく、太陽光自身の殺菌作用も加わって、バクテリアやかびの発生の危険性
も少ない方法です。

晴天時の水平面日射量は真夏の日中には1kW/㎡、通常でも 300~ 600W/㎡程度と乾燥熱源としては十分の大きさです。

図のように網の上に乾燥しようとする材料を並べ、下からゆっくり空気を吸引すると、温められて上昇しようとする空気が材料の隙間を通って下に引き込まれて絶えず空気の流れができるので、地面に並べる場合に比べて大変効果的な乾燥ができますし、雨天時や夜間にも運転することでかびや腐れの心配もなくなります。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
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