3-6 天日干しの魅力
軒先に吊り下げられた干し柿や大根、前浜に広げられる昆布やわかめ、潮風にゆれる鮭や身欠き練やするめ、一夜干のかれいやししゃも、縁側や軒先に並べられる山菜や切干大根、はさ掛けの稲など、絵になる光景が目に浮かびます。
天日干しと呼ばれる乾燥には、低温の空気と放射エネルギーとしての太陽との組み合わせに妙があって、装置型、熱風型の乾燥にはない特有の風味、栄養、健康感が生まれるといわれます。
太陽からの放射熱は、周りの空気を暖めることなしに直接対象物の表面に吸収され、水分の蒸散を促しますから、温風や熱パイプに接触させる装置型の乾燥よりも効率がよく、太陽光自身の殺菌作用も加わって、バクテリアやかびの発生の危険性
も少ない方法です。
晴天時の水平面日射量は真夏の日中には1kW/㎡、通常でも 300~ 600W/㎡程度と乾燥熱源としては十分の大きさです。
図のように網の上に乾燥しようとする材料を並べ、下からゆっくり空気を吸引すると、温められて上昇しようとする空気が材料の隙間を通って下に引き込まれて絶えず空気の流れができるので、地面に並べる場合に比べて大変効果的な乾燥ができますし、雨天時や夜間にも運転することでかびや腐れの心配もなくなります。