2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器
自然は変化に満ちていますが、それは厳しさであると同時に素晴らしさで、建物の熱容量と断熱との組み合わせから、いろんな可能性が生まれてきます。
熱容量とは室温を1℃上げたときに建物の構造体や家具などに蓄えられる熱量で、熱供給が止まると、蓄えられた熱を放出しながら外気温に近付きます。
熱容量が大きいほど室温の冷却速度は小さくなりますが、熱容量は同じでも熱損失が半分になると冷却速度も半分になりますから、室温変動の大小に関わって一般にいわれている熱容量とは、物理的な熱容量そのものではなく、熱容量と熱損失との比で表される相対的な熱容量です。
木造でも断熱をすると室温が安定し、外断熱によってコンクリートやブロック造の熱容量が際立って大きくなるのも、この相対的な熱容量の効果です。
断熱によって建物の相対的な熱容量が増えると、木造でも、夜間換気による冷却効果を日中まで持ち越すことが可能になりますし、基礎周りでの断熱によって、床下地盤の冬の冷却効果を夏に活用することも可能になります。
外断熱されたコンクリート造建物ともなると、日中の取得熱を夜間に、夜間の冷却力を日中に生かすことが可能になり、緩やかな室温変動を許容すると制御不要の定負荷暖冷房が可能になって、設備のコストが減り制御の仕方が一変します。