3-7 自動制御不要の氷温貯蔵
貯蔵庫内に冷凍配管をした開放水槽をおいて氷を作ると、氷が残っている間は氷水槽の温度は 0℃に保たれます。
貯蔵庫内の空気が水槽に触れると結露して水槽の水が溢れてきますが、氷面に接する空気の温度は 0℃ 100%に保たれます。
0℃ 100%という温湿度は多くの野菜や生鮮食品にとって、鮮度を保ちながら凍る心配のない貯蔵条件で、常に水と氷が共存するようにしておくと自動制御不要の氷温貯蔵庫が出来上がります。
1 kgの水の凍結融解潜熱は 93Whと液体の中では最大で、一度凍らせるとなかなか融けませんので、氷が増えてきたら冷凍機の電源を切る、減ってきたら入れるという目視による手動制御で、正確に 0℃を保つことが出来ますし、単価の安い深夜電力だけで氷を作ることも出来ます。
貯蔵庫の断熱を厚くすると、動力費、水槽の表面積、庫内の温度むらは小さくなり、凍結融解の周期も長くなって、氷水槽の面積や設置場所など設計の自由度が増し、維持管理も容易になります。自治体や農協規模で作られる大規模な雪貯蔵などとは異なり、個人規模で必要なときに氷を作り、自動制御なしに冷蔵でき、独自のブランドの工夫が生きるのもこの方式の特徴です。