1-10 温暖化の恐怖
もし排泄がなければ食事を楽しむことも生き続けることも出来ません。
エネルギーの流れとその働きを生み出すには、電位差、高度差、温度差、圧力差などの落差と共に、その落差を保つためのエネルギーの出口が必要です。
蒸気機関車から排出される水蒸気、エンジンから排出される燃焼ガス、冷房装置から排出される熱風も、緑を育て、命を育む働きをした太陽エネルギーも、それを宇宙という巨大な冷熱源へ放散する大気の循環や熱放射という自然エネルギーの働きがあってこそ可能になるエネルギー利用です。
今その排熱が追いつかず、大気の温度が少しつつ上昇しているのが地球温暖化の危機ですが、使用済みの熱を地下水や河川、とりわけ海洋水に捨てる蓄熱型の排熱は原子力発電などで広く利用されています。
海洋の熱容量は大気のそれに比べてはるかに巨大で、その温度上昇も目立ちませんが、気温上昇によって融ける南極の氷河の崩壊よりも、水温上昇に敏感な北極海の氷の消滅がより顕著なのが不気味です。もちろん、海洋に蓄えられた熱もやがて大気に放出され、宇宙に放散されますが、その間接的な放熱には、はるかに長い時間と“気が付いたときにはもう手遅れ”という海洋水の温度上昇を伴います。
近代文明の終焉に向かう着実な歩みになっていることを怖れます。