3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業
自然エネルギー利用というと太陽や風力利用の発電しか思いつかない人がいますが、農・林・水産業こそ、まさに正真正銘の自然エネルギー利用です。
自然エネルギーそのものと同様に、私達が生きるために欠くことのできない産業なのですが、どこの国でも努力の割に利益が少ないのか、就業者が減って高齢化が進み、自然エネルギー利用とは逆の化石エネルギー依存、機械化、大規模化、農薬依存が進み、食糧危機が予想されながらも耕作放棄地が増加し、大地は子孫からの借用物といわれる管理・保全の努めも怪しくなっています。
社会では今、経済の活性化こそが社会秩序の根幹であるとされ、その発想は1次産業の活性化にも求められています。
利益追求の常套手段は仕入れ値を下げて売値を上げることですが、元手が自然エ
ネルギーという無償の富で、同じような生産物を収穫し、零細企業の典型ともいえる1次産業では、徹底的に買い叩かれ、生産物に自分で値段をつけることも出来ないのが現在の1次産業の宿命です。
工業発想にならって化石エネルギーへの依存を深め、大規模化、機械化、効率化、画一化の道を歩む1次産業ですが、そこにはまた都市や2次・3次産業とは異なる自然エネルギー利用があります。