3-4 雪利用の貯蔵技術
半年の間雪と氷に覆われる寒地では、古くから漬物や乾物を作り、土中に穴を掘つて野菜を埋め、雪で覆って越冬する貯蔵法が用いられてきました。
土囲いと呼ばれる伝統的な貯蔵法で、雪という厚い断熱材で覆われた地中は雪解けまでほぼ0℃・100%の温湿度で、多くの根菜類には絶好の貯蔵条件が保たれます。
難点は、冬の厳寒期に貯蔵物を取り出すには除雪、掘り出し、搬出と、寒さの中での作業があって小出しが出来ないこと、春になって雪が解けるといっせいに芽吹いて腐れが出ること、雪が少ないと凍結の危険があることなどで、大規模の貯蔵や出荷には向かない面がありました。
写真は、露出した地面を断熱材と雪で覆った貯蔵庫で、仕組みは土囲いと同じですが、温湿度は冬期間を通して0~2℃、90~100%が保たれ、出し入れ自由の貯蔵庫で、3月に出荷でできた空きスペースに雪を入れると、ほぼ6月一杯 4℃・90%程度の貯蔵環境が保たれます。
メイクイーンとは5月の女王と言う意味のじゃが芋ですが、越冬すると格段に味が良くなります。単なる出荷調整ではなく、貯蔵によって独特の味や風味が加わると、繁忙期を避けた出荷や加工への取り組みも生まれます。