3-12 森を生かすナショナルプロジェクト
森は自然エネルギーの聖地です。樹齢1000年を超える大樹と共に若木や雑草や潅木が生育し、酸素が供給され、雨水を吸収して地下水の源流となっています。
日本は世界有数の森林国で、山に森があり緑に溢れているのが当然とされる、恵まれた国でありながら、海外から大量の木材を購入する一方で自国の森の管理が出来ずに荒廃させ、間伐や風倒木の処理さえ出来ずに放置されています。
森を大切にしたいという思いは、不思議なことに若者よりも高齢者に強く、寿命が延びた現在、体力と時間のある高齢者が増えています。
もちろん若い力が随所で必要になりますが、高齢者が森に接し、清浄な空気のもとで健康な汗を流す機会を積極的に増やす取り組みには、自然に親しむ文化の回復と共に、保健医療費の節減効果も期待できます。
日本には、間伐材や下枝を払った小枝を炊事や風呂の燃料としてきた長い伝統があり、薪切りや薪割りを日課とする生活がありながら、あまりにも簡単に全面輸入の石油に頼り、オール電化を理想とする意識に変えられてしまったのが不思議です。
機械力で大木を伐採しても、大量の廃材が山に残り、腐敗すると温暖化効果の際立って高いメタンガスを発生します。森を生かし育てる取り組みは、やがて海を育て水産業を育てる取り組みにもつながります。