3-8 低温乾燥貯蔵の工夫
湿潤の風土の日本では、乾燥した海産物、穀類、野菜や果実などを作っても放置するとたちまち湿って風味が失われ、かびや虫の被害を受けますが・夏に低温乾燥の貯蔵環境をつくるのは、冬に高温、高湿環境をつくるよりも面倒です。
地下水や放射冷却や雪や氷で空気を冷却すると温度は低下しますが湿度も上昇しますので、乾燥状態にするには再度加熱が必要です。
最も簡単なのは除湿機を使う方法ですが、断熱された貯蔵庫で除湿機を運転すると湿度は下がりますが気温が異常に高くなります。
空調機を運転すると除湿される前に気温が下がり、自動制御が働いて空調機が止まってしまうため、逆に低温高湿の状態になってしまいます。
一つの解決策は、空調機から吹き出される低温空気と、取り入れ空気の間に顕熱交換器を設け、冷却コイルに入る前に取り入れ空気の予冷をすると同時に、吹き出す空気を温めて相対湿度を下げる方法で、調整によって温度湿度を自由にコントロールすることができます。
最近は無償の自然エネルギー利用という触れ込みで、冷熱源としての雪利用が試みられていますが、前頁の方法で氷を作ると、巨大な雪貯蔵庫なしに、氷利用の低温乾燥貯蔵が可能になります。