3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向
もし米国やオーストラリアの大規模・機械化農業の規模を北海道に持ち込むならば、現在の北海道の1町村あたり2~3軒という規模になるといわれますから、町も村も消えてしまう超過疎地が出現することになります。
自然エネルギー利用産業ではなく、化石エネルギーに頼って自然そのものを消費する化石資源浪費産業になり、日本の農林水産業の基盤である川沿いの山間部を含む緑豊かな山村や沿岸が、人の住めない過疎地になることも必然です。
無償の富である自然エネルギーに支えられ、零細企業の典型でもあった1次産業が、より大きな組織に組み込まれるという形での大規模化も進んでいます。
それぞれの独自性が尊重される零細企業ではなく、大きな組織に組み込まれて独自のブランドを売り出すことも、生産物に自分で値づけをすることも許されない立場に追い込まれる中途半端な大規模化では、生産者としての誇りも、消費者との顔の見える関係もますます稀薄になってしまいます。
1次産業をただひたすら生産性と経済性を追求する産業として規模拡大を求めるのではなく、その活動の場を含めて、生産者と消費者、都市生活者がお互いにそのつながりの大切さを発見し、自然と共に生きる生活を支える産業として育てていくことが求められます。