1-12 地域の宝としての自然エネルギー
外断熱されている地球とはいえ、地表の気温の極値は±80℃にも達します。
落差の大きさは自然の厳しさであると共に多様性を生み出す源でもあります。
90%を超える湿潤の一方に、10%を下回る乾燥の風土があります。土や岩の日射
遮蔽と蓄熱効果を生かした沙漠気候の住まいの一方に、雪や氷の断熱効果に頼る北極圏の住まいがあり、渡り鳥のように長距離を移動して生きる動物達もいます。
人類は火を発見して以来、薪や化石エネルギーを用いてこの落差を克服し、暖冷房技術に頼って一定環境の保持を理想とし目標としてきました。
自然や自然エネルギーの中に欠点を見出し、それを思い通りになる化石エネルギーで解決し、さらに、太陽や風力発電で人工エネルギーを生産して画一化と自然破壊に向かうことが果たして成長といえるのでしょうか。
有償である人工エネルギーの利用が欠点対応型であるのに対して、無償である自然エネルギーの活用は良さ発見型です。
一方がインターナショナル化、画一化、経済活性化を求めるのに対して、後者から生まれるのは、むしろ自給を支える支出削減型の経済です。
地域独自の自然エネルギーへの生活対応に良さを発見し、それをより顕著にする成長は、地球環境時代の課題である“奪い合うことのない成長”への鍵です。