2015年7月19日

1-12 地域の宝としての自然エネルギー

宝とはその価値を発見した人のものです
宝とはその価値を発見した人のものです

1-12 地域の宝としての自然エネルギー

外断熱されている地球とはいえ、地表の気温の極値は±80℃にも達します。

落差の大きさは自然の厳しさであると共に多様性を生み出す源でもあります。

90%を超える湿潤の一方に、10%を下回る乾燥の風土があります。土や岩の日射
遮蔽と蓄熱効果を生かした沙漠気候の住まいの一方に、雪や氷の断熱効果に頼る北極圏の住まいがあり、渡り鳥のように長距離を移動して生きる動物達もいます。

人類は火を発見して以来、薪や化石エネルギーを用いてこの落差を克服し、暖冷房技術に頼って一定環境の保持を理想とし目標としてきました。

自然や自然エネルギーの中に欠点を見出し、それを思い通りになる化石エネルギーで解決し、さらに、太陽や風力発電で人工エネルギーを生産して画一化と自然破壊に向かうことが果たして成長といえるのでしょうか。

有償である人工エネルギーの利用が欠点対応型であるのに対して、無償である自然エネルギーの活用は良さ発見型です。

一方がインターナショナル化、画一化、経済活性化を求めるのに対して、後者から生まれるのは、むしろ自給を支える支出削減型の経済です。

地域独自の自然エネルギーへの生活対応に良さを発見し、それをより顕著にする成長は、地球環境時代の課題である“奪い合うことのない成長”への鍵です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
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