3-3 ビニールハウスの熱環境
いま北海道で最も普及している太陽熱利用はビニールハウスかもしれません。
雪や風に弱い弱点はありますが、簡単に組み立て解体ができる優れものです。
何しろフィルムルー枚の外皮ですから、晴天時の日中は外気温より20℃以上高くなりますが、日が沈むと急降下して朝方を待たずにほぼ外気温に等しくなり、膜の熱損失が大きいために地中への蓄熱効果もあまり期待できません。
一般的な東西軸のビニールハウスでは、冬に日射が入るのは南側半分で北側半分は放熱面です。建物の付設温室のように北側に建物や断熱面があると、取得日射はほぼ変わらずに熱損失が約半分になるので、日中の温度上昇はほぼ2倍になりますが、それでも朝方までの気温保持はほとんど期待できません。
中国の東北地域では古くから北側を土壁や石積みにして、日中の温度上昇と蓄熱効果を利用した温室が多く見られます。
ロール型の断熱材で夜間の熱損失を小さくすることができると、蓄熱の工夫が生まれてきますが、今のところは石油と自動制御に頼った温度管理が主流です。
ハウス全体の断熱よりも簡単で効果のあるのは、ハウス内に断熱箱と開閉可能な蓋を設ける方法で、日中地面が暖められていると、 50mm程度の断熱で朝方 10℃程度の温度が保たれ、背の低い植物や種苗の育成に有効です。