4-3 共有の富を育てる成長
共有の富とは、思い通りになる私有の富、他人との煩わしい関わり合いを自治体の管理に委ねる公有・共用の富、会社が維持管理をする社有の富とも異なり、人と人とのつながりの輪に役割を持って参加して育てる、売ることも買うことも勝手に捨てることも出来ない富です。
家族は共有の富の典型で、それぞれが役割を持って助け合い、人格的なふれあいを通して新しい自分を発見する成長の場でもあります。
互いに助け合わねば生きられなかった苦難の時代や開拓の時代には、世代を越えて助け合う大家族や、共同体とそのつながりがあり、それを確かめ合う地域毎の祭りが沢山ありましたが、経済的な豊かさと共にそのつながりや役割も、立場や視点を変えて発見する自己発見の創造の機会も少なくなっています。
地産地消の経済も、消費者と生産者とのつながりがある共同体があってこそ可能になる、競い合いや奪い合うことのない、共存性のある成長への道です。
無償の富である自然や自然エネルギーもまた、個別の省エネルギーや温暖化防止への努力だけではなく、その素晴らしさを知り、大切にするつながりの中に役割を持って参加し、欠くことのできない共有の富として育てる意識がなければ、私有化を求める、果てしない経済競争の波にのみ込まれてしまいます。