3-13 薪利用の建築的な工夫
建物の断熱化が進む前に煙突が消え、薪利用の暖房習慣が石油利用に変わってしまったのは残念なことでした。囲炉裏や暖炉やストーブで薪が燃え、炎が揺らぐ情景には情緒がありましたが、寒さが厳しい北海道では、情緒を楽しむよりも火を絶やさずに燃やし続ける努力が大変でした。
厚い断熱を施した住宅では、窓からの日射や生活排熱が主熱源となる再利用熱暖房になりますから、一番寒い時期だけ貯蔵可能な自然エネルギーである薪を補助として活用すると、化石資源に依存しない暖房が可能になります。
もう一つの工夫は、建物の熱容量を増して一日に一回の薪燃焼で一日中の室温が保たれるようにすることで、つきっきりで薪を補給する作業から開放されると自動制御装置のない薪燃焼を楽しむゆとりが生まれてきます。
昔よく使われたペーチカやオンドルも熱容量を利用した暖房装置ですが、同じ熱容量でも熱損失が半分になると相対的な熱容量は2倍になって、冷却時間が延び、燃料消費量も約半分になります。
写真はコンクリート床の下に床暖房の温水配管をした例で、断熱建物で床のコンクリートと地盤が暖められると、緩やかな変動で室温は翌日まで、ほとんど変わらずに保てるようになります。