2015年7月19日

1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー

人間の目には自然破壊ですが・・・
人間の目には自然破壊ですが・・・

1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー

自然エネルギー利用というと、風力発電や太陽光発電しか思いつかない人が多いのは不思議ですが、発電された電力は典型的な人工エネルギーです。

思い通りになる化石エネルギーに頼って、環境に大きな歪みを生み出してきたことが地球環境の汚染と破壊の原因ですが、自然エネルギーの特徴は、地球がそのあるべき姿を保つために、むしろ人間の思いや価値判断を越えて、休みなく働き続ける完全に自動化された“環境保全エネルギー”です。

あまり自覚はないかも知れませんが、自然エネルギー利用産業の典型ともいえる農・林・水産業にも化石エネルギー依存が浸透し、機械化、大規模化と共に、薬害や大地の生産力低下、地下水の枯渇や塩害も急速に進み、豊かな自然と農地を放棄する耕作放棄も進んでいます。

先に述べた干ばつや沙漠化、温暖化や海水面の上昇は、自然エネルギーの働きを疎かにすることへの警告でもあります。

化石エネルギーの節減を意味する“省エネルギー”よりも、自然のあるべき姿を保持しようとする自然エネルギーの性質を大事にし、地域らしさを引き出し、結果としての化石エネルギー依存を減らすことのほうが、希望と持続性のある取り組みにつながります。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
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