1-3 水に秘められた創造の知恵
水は大変不思議な物体です。H20の分子量は 18 と他の分子に比べて軽量ですが、熱容量(比熱)や蒸発・凝縮の潜熱は際立って大きく、安定した環境をつくることに貢献しています。
身の回りに気体、液体、固体の3態が共存し、しかもそれぞれが多様な姿と役割を持って変化に満ちた環境をつくるのも、水だけに見られる特別なことです。
水蒸気としての水が大気の大循環を促し、清浄な環境を維持していることは既に書きましたが、液体としての水は生物自体の主要な構成物質として生命を宿し、活動を促す源となっています。
水なしには焼き尽くす炎のような太陽エネルギーが、水を得て緑を育て、花を咲かせ、枝を伸ばし、自然エネルギーの結晶とも言える実りをもたらします。
固体としての水は霧氷となり、あられや雹(ひょう)や雪となり、乾いた雪、湿った雪、軽い雪、重い雪、霜やツララや氷河として多彩で多様な姿を見せてくれますが、舞い降りる雪の結晶はどれ一つとして同じもののない美しい芸術品です。
地表を覆う雪は冬の寒さから動物達を守る天然の断熱材で、冬眠の熊だけではなく、多くの小鳥や小動物、微生物が雪の断熱力に頼って厳しい冬の寒さを乗り越えています。