2015年8月20日

3-13 薪利用の建築的な工夫

建物の断熱によって増大するコンクリート床の熱容量
建物の断熱によって増大するコンクリート床の熱容量

3-13 薪利用の建築的な工夫

建物の断熱化が進む前に煙突が消え、薪利用の暖房習慣が石油利用に変わってしまったのは残念なことでした。囲炉裏や暖炉やストーブで薪が燃え、炎が揺らぐ情景には情緒がありましたが、寒さが厳しい北海道では、情緒を楽しむよりも火を絶やさずに燃やし続ける努力が大変でした。

厚い断熱を施した住宅では、窓からの日射や生活排熱が主熱源となる再利用熱暖房になりますから、一番寒い時期だけ貯蔵可能な自然エネルギーである薪を補助として活用すると、化石資源に依存しない暖房が可能になります。

もう一つの工夫は、建物の熱容量を増して一日に一回の薪燃焼で一日中の室温が保たれるようにすることで、つきっきりで薪を補給する作業から開放されると自動制御装置のない薪燃焼を楽しむゆとりが生まれてきます。

昔よく使われたペーチカやオンドルも熱容量を利用した暖房装置ですが、同じ熱容量でも熱損失が半分になると相対的な熱容量は2倍になって、冷却時間が延び、燃料消費量も約半分になります。

写真はコンクリート床の下に床暖房の温水配管をした例で、断熱建物で床のコンクリートと地盤が暖められると、緩やかな変動で室温は翌日まで、ほとんど変わらずに保てるようになります。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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