2015年11月14日

No.162 道路標識と交通信号機

ちょっと真面目チョット皮肉 162

石山祐二 *

北海道の郊外をドライブするとすぐに写真 1のような道路脇にある標識が目に付く。最初は、紅白縞模様の下向きの矢印は何のためのものかと不思議に思うが、冬になると自然にその意味が分かる。

cyot162_img_0写真1 視線誘導標

道路の端を示すこの標識は、風雪などで車道と歩道の区別が付かないような状況(英語では whiteoutという)では、この標識が役に立つどころか必須である。すなわち、この標識の左側には車道がなく、歩道であったり、場合によっては用水路や田畑となっていることを示している。ホワイトアウトの中で車を運転すると、道路がどこまであるか分からないので恐怖を感じることもある。その際に、この標識があると低速度ではあるが運転を続けることができ、その有用性を実感する。

この標識は視線誘導標( delineator)の一つで、道路の境界を運転者に示すのが主目的であるが、他にも役割がある。この視線誘導標は、道路境界に沿って数十メートル間隔で設置されている他に、バス停などで道路幅が広がっている部分には、それに沿って狭い間隔で設置されていることに気が付く。これは、冬期間の除雪の際に除雪車が誤って歩道境界となっている縁石などを壊さないようにするための目印でもあるからである。

さて、道路で最も目立つのは交通信号機で、多くは写真 2(左)のように横型で(左側通行の日本では)左から青・黄・赤となっている。しかし、北海道の交通信号機はほとんどが写真 2(右)のように縦型で上から順に赤・黄・青となっている。縦型となっているのは、信号機への積雪を少なくするためである。

cyot162_img_1写真2 横型と縦型の交通信号機

歩行者用の信号機は、写真 3のように全国的に縦型で、上が赤・下が青となっている。最近は、写真 3(右)のようにどのくらい後に信号が変わるのかを横棒の数で示している場合があり、もう少しで信号が変わるはずなど思いながら、何となく安心感を感じる。しかし、横棒の数からは残りが何秒か分からない。外国では信号の残り時間を秒数で示している信号機があるのに、なぜ日本ではそのようにしないのであろう。せっかちな人間の多い日本こそ、残り時間を秒数表示する信号機を世界に率先して導入してよいはずなのにと以前から不思議に思っている。

cyot162_img_2写真3 歩行者用の交通信号機

話は変わるが、エレベータの内部にあるドアの開閉ボタンは、外国では「閉」(close)ボタンはなく「開」(open)ボタンのみがあると聞いたことがあるが、最近では外国でも「閉」ボタンのある場合が多くなっているようである。このようなことを考えながら、あまり急がない人間の多い国では、急がせるようにし、急ぎ過ぎる人間の多い国では、あまり急がせないような施策を各国で考えているのかも知れないと邪推している。


 *いしやまゆうじ 北海道大学名誉教授
(一社)建築研究振興協会発行「建築の研究」2015.10原稿

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