2015年8月20日

3-7 自動制御不要の氷温貯蔵

目視による手動制御の冷蔵庫
目視による手動制御の冷蔵庫

3-7 自動制御不要の氷温貯蔵

貯蔵庫内に冷凍配管をした開放水槽をおいて氷を作ると、氷が残っている間は氷水槽の温度は 0℃に保たれます。

貯蔵庫内の空気が水槽に触れると結露して水槽の水が溢れてきますが、氷面に接する空気の温度は 0℃ 100%に保たれます。

0℃ 100%という温湿度は多くの野菜や生鮮食品にとって、鮮度を保ちながら凍る心配のない貯蔵条件で、常に水と氷が共存するようにしておくと自動制御不要の氷温貯蔵庫が出来上がります。

1 kgの水の凍結融解潜熱は 93Whと液体の中では最大で、一度凍らせるとなかなか融けませんので、氷が増えてきたら冷凍機の電源を切る、減ってきたら入れるという目視による手動制御で、正確に 0℃を保つことが出来ますし、単価の安い深夜電力だけで氷を作ることも出来ます。

貯蔵庫の断熱を厚くすると、動力費、水槽の表面積、庫内の温度むらは小さくなり、凍結融解の周期も長くなって、氷水槽の面積や設置場所など設計の自由度が増し、維持管理も容易になります。自治体や農協規模で作られる大規模な雪貯蔵などとは異なり、個人規模で必要なときに氷を作り、自動制御なしに冷蔵でき、独自のブランドの工夫が生きるのもこの方式の特徴です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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