2015年8月20日

3-3 ビニールハウスの熱環境

蓋を閉めればもう安心
蓋を閉めればもう安心

3-3 ビニールハウスの熱環境

いま北海道で最も普及している太陽熱利用はビニールハウスかもしれません。

雪や風に弱い弱点はありますが、簡単に組み立て解体ができる優れものです。

何しろフィルムルー枚の外皮ですから、晴天時の日中は外気温より20℃以上高くなりますが、日が沈むと急降下して朝方を待たずにほぼ外気温に等しくなり、膜の熱損失が大きいために地中への蓄熱効果もあまり期待できません。

一般的な東西軸のビニールハウスでは、冬に日射が入るのは南側半分で北側半分は放熱面です。建物の付設温室のように北側に建物や断熱面があると、取得日射はほぼ変わらずに熱損失が約半分になるので、日中の温度上昇はほぼ2倍になりますが、それでも朝方までの気温保持はほとんど期待できません。

中国の東北地域では古くから北側を土壁や石積みにして、日中の温度上昇と蓄熱効果を利用した温室が多く見られます。

ロール型の断熱材で夜間の熱損失を小さくすることができると、蓄熱の工夫が生まれてきますが、今のところは石油と自動制御に頼った温度管理が主流です。

ハウス全体の断熱よりも簡単で効果のあるのは、ハウス内に断熱箱と開閉可能な蓋を設ける方法で、日中地面が暖められていると、 50mm程度の断熱で朝方 10℃程度の温度が保たれ、背の低い植物や種苗の育成に有効です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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