2015年8月20日

2-8 湿度調整の器としての建築

梅雨期に備える吸放湿性に富む和室
梅雨期に備える吸放湿性に富む和室

2-8 湿度調整の器としての建築

本州には今でも“冬に結露は付きもの”といって、寝室や窓面、押し入れや床下などの結露を当然とする建築関係者がいます。

夏の梅雨時ならいざ知らず、冬の外気は巨大な除湿機です。-10℃ 100%の外気を 0℃に加熱するとその相対湿度は 47%、10℃で 23%、20℃では12%の乾燥空気になります。逆に 20℃ 50%の居間や食堂の空気が冷やされて 9.4℃以下になると、相対湿度は100パーセントを超えて結露が始まります。

もし気密化された建物内に寒い部屋があると結露が防げなくなりますし、建物全体が暖房されるとカラカラに乾燥して、加湿とそのための熱が必要になります。

冬の結露を防ぐには、床下も含めて全空間を 10℃以上に保つ断熱と全室暖房の工夫と共に、むしろ、洗濯、入浴、植栽や床下地盤などから発生する水蒸気をできるだけ室内に導いて有効に活用し、異常乾燥を防ぐことが大切になります。

冬の結露に比べると夏の結露防止や除湿は、はるかに面倒です。

梅雨のように、数日にわたって相対湿度が 90パーセントを超え、気温の変動も少ない飽和状態での結露防止は大変困難で、わら、木、紙、土、布など、吸湿性に富む材料を多用して湿気を吸収し、吸湿後の放湿、乾燥を促す通気を大切にしてきたのが日本建築の伝統です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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