2015年8月19日

2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器

屋根を渡る風の僅かな風圧変動から生まれる室内空気の揺らぎ
屋根を渡る風の僅かな風圧変動から生まれる室内空気の揺らぎ

2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器

自然は変化に満ちていますが、それは厳しさであると同時に素晴らしさで、建物の熱容量と断熱との組み合わせから、いろんな可能性が生まれてきます。

熱容量とは室温を1℃上げたときに建物の構造体や家具などに蓄えられる熱量で、熱供給が止まると、蓄えられた熱を放出しながら外気温に近付きます。

熱容量が大きいほど室温の冷却速度は小さくなりますが、熱容量は同じでも熱損失が半分になると冷却速度も半分になりますから、室温変動の大小に関わって一般にいわれている熱容量とは、物理的な熱容量そのものではなく、熱容量と熱損失との比で表される相対的な熱容量です。

木造でも断熱をすると室温が安定し、外断熱によってコンクリートやブロック造の熱容量が際立って大きくなるのも、この相対的な熱容量の効果です。

断熱によって建物の相対的な熱容量が増えると、木造でも、夜間換気による冷却効果を日中まで持ち越すことが可能になりますし、基礎周りでの断熱によって、床下地盤の冬の冷却効果を夏に活用することも可能になります。

外断熱されたコンクリート造建物ともなると、日中の取得熱を夜間に、夜間の冷却力を日中に生かすことが可能になり、緩やかな室温変動を許容すると制御不要の定負荷暖冷房が可能になって、設備のコストが減り制御の仕方が一変します。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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