2015年8月19日

2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器

聞こえますか? 自然エネルギーの音色
聞こえますか? 自然エネルギーの音色

2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器

自然エネルギーにはそれぞれ、他のエネルギーにはない個性があります。

窓から入射する太陽エネルギーには、光として室内に明るさと活気を与えるだけではなく、戸外からの様々な情報と共に、移り変わる風景の彩りや時の経過を知らせ、植物を育て、花を咲かせ、健康を維持し、最後には熱として室温を保つなどの個性豊かな働きがあります。

天空光や反射光、そよ風や熱対流、気温の日変動や年変動、乾燥や湿潤、蓄熱や放熱、新鮮な空気や水、微妙な風圧や気圧の変動などは、一般には自然エネルギー利用の対象とは考えられていません。しかし、こうした低密度、低落差でしかも変動性、地域性の大きな自然エネルギーの性質をそのまま活用し、化石エネルギーや電力ではなしえない働きを引き出すことができるのが建築という器です。

朝日や夕日や雲に照らし出される室内の彩りや陰影、心地良さとともに空気の揺らぎを生み出す風圧変動、自然換気の原動力となる熱対流、夜間換気や床下地盤の冷却力など、断熱や熱容量を生かして大きな気温変動を暖房あるいは冷房の熱源に変換するのも建築の役割です。

装置やパネルで熱や電力に変換する自然エネルギー“利用”に対して、建物によってそのエネルギーの特性を生かす取り組みは自然エネルギーの“活用”です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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