2015年8月20日

2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築

短いのは建物の寿命ではなく住む側の意識です
短いのは建物の寿命ではなく住む側の意識です

2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築

かつて日本の住宅の寿命は30年といわれ、頻繁な取り壊しが環境破壊の元凶とされてきました。

しかし更新廃棄の速さという点では、工業製品や電子機器のほうがはるかに短命で、一年も持たずに廃棄されるハイテク機材が山ほどあります。

建築には様々な資源が消費されますが、日本の伝統的な建築の素材である木材や藁、たたみや紙などは明らかに自然エネルギーの結晶で、伝統民家の中にはこうした素材だけで 200年を超えて今なお使われているものが多くあります。

いま一般の住宅でも 100年あるいは 200年住宅を目標に長寿命化が模索されていますが、それを支える技術の一つが断熱です。

外断熱によって建物全体が保護されると、雨や湿気や気温変動の影響を受けずらくなり構造体の寿命が格段に延長されます。

世界遺産に登録されるような建築はさらに寿命の長いものですが、こうした住宅はもはや個人資産ではなくむしろ社会資産であって、どう住み替え、どう管理して皆で使い続けるかが問われます。

無償の富である自然エネルギーもまた個人資産ではなく、勝手に売ることも買うことも出来ない、もっと大きな“社会資産”であるという理解が必要です。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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