2015年8月18日

2-1 自然に親しむための器

この心地よさも断熱材から
この心地よさも断熱材から

2-1 自然に親しむための器

外断熱された地球という星のなかに生きる動物達はさらに、岩、土、雪、水、木、草のなかに巣をつくり、その断熱力に頼って気温変動を緩和しています。

人間にとっての住まいもまた、大きな変動を緩和して穏やかな環境をつくる断熱材として有史以前から使われてきました。

最近、地球にやさしい生活として、省エネルギー、温暖化防止、エコロジーなどへの取り組みが強調されていますが、“やさしさ”とは、暴力を控えめにするというような消極的なことではなく、もっと積極的に、地球や自然の中に満ちている素晴らしさを知り、親しみと喜びを発見する生活から生まれるはずです。

断熱から生まれる穏やかさには、自動制御でつくられる一定環境とは異なる緩やかな変動があり、変動そのものの大切さをも教えてくれます。

断熱によって化石エネルギーへの依存が減ると、窓からの日射や生活発熱を主役とする再利用熱暖房が可能になり、自然を敵視する意識も薄らぎますが、より自然に親しむには、欠点を補う技術対応よりも、良さを発見してそれをより顕著にする取り組みが大切です。雪や寒さに親しむことのできる着衣での散歩、雪の美しさを大切にする景観づくり、北海道の特質である夏の涼しさをより顕著にする冷房手法の普及など、その課題はたくさんあるはずです。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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