2015年7月19日

1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー

放射冷却から生まれる朝霧
放射冷却から生まれる朝霧

1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー

太陽から地球に降り注ぐエネルギーはほぼ一定ですが、地球の公転と自転から生まれる年変動、日変動などの変化もまたエネルギーであって、変動性は自然エネルギーの特徴です。化石エネルギーや電力などの人工エネルギーには一定の出力が求められ、有料であるのと対照的です。

気温の年変動や日変動だけではなく、気圧や湿度、風や波、雲や天空光、生物の生長から実り、分解や再生もまた環境に活力を与える自然エネルギーです。

たとえエネルギー量は小さくとも、季節の移り変わりを告げる虫や鳥の声、草木や花の香り、四季を彩る風景から景観までもが、変化を生み出す自然エネルギーの働きであり、個性豊かな自然エネルギーそのものでもあります。

しかし変化は時に大きすぎて、大きな災害をもたらすこともあります。

寒波や熱波で大勢の人が亡くなり、台風や洪水、高潮や高波が大きな災害をもたらし、地震や津波が地形をも変える変動を与えるのも自然エネルギーです。

干ばつや沙漠化には人為的な取り組みの失敗が指摘されていますが、多くの変化はある程度の予測が可能であり、対応への準備が求められています。

その備えと心構えを含めても、変化は自然エネルギーの欠点ではなく地域と生活の多様性を生み出す素晴らしさであることを忘れたくないものです。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ リンク
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