2015年7月19日

1-10 温暖化の恐怖

つながっている海の豊かさと森の豊かさ
つながっている海の豊かさと森の豊かさ

1-10 温暖化の恐怖

もし排泄がなければ食事を楽しむことも生き続けることも出来ません。

エネルギーの流れとその働きを生み出すには、電位差、高度差、温度差、圧力差などの落差と共に、その落差を保つためのエネルギーの出口が必要です。

蒸気機関車から排出される水蒸気、エンジンから排出される燃焼ガス、冷房装置から排出される熱風も、緑を育て、命を育む働きをした太陽エネルギーも、それを宇宙という巨大な冷熱源へ放散する大気の循環や熱放射という自然エネルギーの働きがあってこそ可能になるエネルギー利用です。

今その排熱が追いつかず、大気の温度が少しつつ上昇しているのが地球温暖化の危機ですが、使用済みの熱を地下水や河川、とりわけ海洋水に捨てる蓄熱型の排熱は原子力発電などで広く利用されています。

海洋の熱容量は大気のそれに比べてはるかに巨大で、その温度上昇も目立ちませんが、気温上昇によって融ける南極の氷河の崩壊よりも、水温上昇に敏感な北極海の氷の消滅がより顕著なのが不気味です。もちろん、海洋に蓄えられた熱もやがて大気に放出され、宇宙に放散されますが、その間接的な放熱には、はるかに長い時間と“気が付いたときにはもう手遅れ”という海洋水の温度上昇を伴います。

近代文明の終焉に向かう着実な歩みになっていることを怖れます。

「断熱から生まれる自然エネルギー利用」(北海道大学名誉教授 荒谷 登) Ⅰ 自然エネルギーって何だろう 1-1 地球という外断熱された星 1-2 外断熱された地球の特有のエネルギー 1-3 水に秘められた創造の知恵 1-4 氷という断熱材 1-5 目に見えない放射エネルギーと見えない断熱材 1-6 気温の年変動も自然エネルギー 1-7 地域性に富んだ自然エネルギー 1-8 変動から生まれ変化を促す自然エネルギー 1-9 自然エネルギーは全自動の環境保全エネルギー 1-10 温暖化の恐怖 1-11 自然エネルギー利用の難しさとやさしさ 1-12 地域の宝としての自然エネルギー Ⅱ 自然エネルギー活用の器としての建築 2-1 自然に親しむための器 2-2 むらのない環境をつくる器 2-3 自然エネルギーの個性を尊重するための器 2-4 変動から生まれる自然エネルギーを生かす器 2-5 自然エネルギーを環境調整の主役にする器 2-6 昼の光を生かす器としての建築 2-7 夜の光の演出 2-8 湿度調整の器としての建築 2-9 新鮮な外気を生かす器 2-10 無償の富を生かす器としての建築 2-11 自然エネルギーを後世に引き継ぐ器としての建築 Ⅲ 北海道の1次産業の活性化 3-1 典型的な自然エネルギー利用としての農・林・水産業 3-2 1次産業の環境整備に生かされなかった寒地建築技術の蓄積 3-3 ビニールハウスの熱環境 3-4 雪利用の貯蔵技術 3-5 貯蔵と加工のある 1.5次産業の育成と建築技術 3-6 天日干しの魅力 3-7 自動制御不要の氷温貯蔵 3-8 低温乾燥貯蔵の工夫 3-9 断熱材で建物を作る 3-10 規格外品も廃棄物さえもすぐれた自然エネルギーの結晶 3-11 過疎化と疎外を招く大規模化指向 3-12 森を生かすナショナルプロジェクト 3-13 薪利用の建築的な工夫 3-14 地産地消の共同体(コミュニティ) 3-15 北海道の課題としての1次産業の活性化 Ⅳ 持続可能な成長への期待 4-1 弱さを大切にする成長 4-2 持っている特質を生かす成長 4-3 共有の富を育てる成長 もくじ 各種ダウンロード リンク
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